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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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深刻なイジメ問題は周期的に現れてくる傾向がありますね。


根深い問題ですから根本的なことは何も言えないのですが、周辺の認識のズレについて少しだけ書いておこうと思います。


そもそもいじめは人道的にあってはならない問題ですが、学校という大昔から変わらないシステムと環境の中では必然的に起きてしまう問題でもあるのです。


多くの生徒を一つの箱のなかに収容し同年齢の集団40名ばかりを一束にして絶対的権威である教師が管理し成績をつけて上下の順位をつける。一日、5、6科目を一時間ごとに区切って意識を切り替えさせながら暗記教育に向かわせる。その結果を定期的にテストで反復実習させる。そういった環境の中で1年365日(-休日)、小、中、高、12年間という長い期間、同じ内容を繰り返しながら大人になっていくわけです。


それのどこかが悪いということを指摘したいわけではありません。


こういった学校教育の仕組みがどういった経緯で、またどういった意図を持って作られたのかという根本が忘れられていることが問題です。


上に書いた学校教育のあらましは何かの組織にとても似ていると思いませんか?


その組織は軍隊です。


日本の現代の学校教育は明治時代の始まりとともに西洋社会から輸入され、それまでの寺子屋教育に取って代わられました。


西洋社会において近代の学校教育制度が作られた目的は強い常設軍隊を持つために、優秀な兵隊になれる素養をすべての子供達が身に着けて社会に出すためです。


今でも校庭や体育館で全体集合する時や体育の授業などで、起立、着席、回れ右などをさせるのは軍隊教育時代の名残です。


細かく比べるとわかりますが、小、中、高の12年間、義務教育だけでも9年間、学校という狭い檻の中で集団生活をさせるのは、そういったストレスに慣れさせることで同様なストレスに晒される軍隊生活に備えるためです。また、同じ年齢の者どうし1クラス40人前後の集団で一人の教師という関係は、軍隊に小隊単位の上官と部下の関係です。学年の上下は階級制と年功序列です。


成績で上下をつけるのは結果を競わせるためと落ちこぼれた時の罰と見せしめに対する恐怖を植え付けるためです。一時間ごとに細かく区切って違う内容の勉強をさせるのは、様々な状況にすばやく反射的に切り替えて対応できることと、軍隊における様々な役割と技能を効率良く身につけさせるための準備です。暗記教育が主体で繰り返しテストで反復させるのは、自分で思考する過程を省いて命令に対して求められる行動を反射的にかつ的確に行えるようにする訓練です。そして均質な能力と価値観を備えた人間を大量に社会へ送り出し続けることが最大の目的です。


こうして比較していくと学校教育制度がことごとく軍隊制度と結び付けられて生み出されたことが分かります。


つまり、個性や創造性を大事にしようとか、一人ひとりが考える力を身につけるとか、他人を思いやる気持ちを持つといった理念は全部後付けなんですね。


日本の場合は第二次世界大戦に負けてから軍隊は解散して戦争する必要は無くなりましたが、均質な能力を持った人間を大量に生み出して社会に送り出すという学校教育システムの効用は、そのまま強い国内産業を育成することに流用されて今日までほぼそのままの形で存続してきました。それが今ここに来て国内産業が後退し世の中の情勢や価値観が大きく変化したにもかかわらず、教育制度だけが軍隊制度を下敷きにした旧態依然としたまま今日もひたすら均質な人間を生産し続けてるわけですから、そのミスマッチが最大化しているということが問題の根本にあるわけです。


ただし、ここで教育論を振りかざして今の教育が悪いからどうにかしようと言う気はまったくありません。


たぶんそういった教育制度の矛盾を意識した革新的な教育制度を目指した取り組みはこれまでも沢山あったでしょうが、それらはどれも実験レベルで終わったでしょうし、その中には極端な理想主義に走ってその理想とは程遠い結果に終わったものも多いはずです。


なので現行の教育制度の是非については、それは必要悪でしかないというとりあえずの結論で止めておきます。


それで話をいじめの背景に戻しますが、これについても軍隊制度との比較である程度説明できます。


その萃点は軍隊にいじめは必要不可欠で、いじめが多い軍隊ほど強い軍隊になるということです。


よく戦争映画などで命をかけた男たちの友情と絆が美しく描かれていますが、全部ウソではないにしろその背景にある陰湿さはほとんど描かれていません。


今でもそうですが、軍隊でいじめやリンチが絶えない理由はその過酷なストレスゆえではなく、味方の中で常にそういった陰湿な行いを繰り返すことで、わざと人間関係に不協和音とクサビを打ち込み互いに不信感と憎しみを抱かせるようにして、それを戦闘中に一気に敵にぶつけさせるためです。


もし、味方同士が信頼関係を築いて仲良くなってしまうと、敵を目の前にした時わざわざ敵を殺そうという気は起きなくなりますし、自分たちの居場所の環境が良すぎると敵地に向かって攻め入る気持ちが萎えて逃げ出したくなります。


そのようにして軍隊という組織はとことん人間を非人道的かつ自己中心的な方向へ向かわせるように作られたシステムなのです。


そいった軍隊システムと瓜二つの仕組みを持つ現行の学校教育制度は、はからずもいじめや人間不信を子供たちの人間関係になかば自動的に生み出してしまう病理を抱えているのです。


そして軍隊制度の中で生じる様々な陰惨さと同様の性質が子供たちの人間性の中に転写されていくのです。


教育に関わってる人たちや両親、子供たち自身のうち誰もいじめや人間不信を望んでいないのに、仕組み自体がそういった結果をもたらすがゆえに、いつまでも負の連鎖を断ち切ることが出来ないというのが現代の教育制度がもたらす悲劇です。


戦後、非人道的な軍国主義教育から人道的な教育へ向かうために様々な理念や理想が被せられましたが、根本は軍隊教育時代の仕組みのままであり、どんなに強い理念を打ち出してそこに向かおうとしても、やはり元からある仕組みの力が勝るものなのです。


長い時間の経過とともに仕組みの本質よりも被せられた理念にしか人々の意識が向かなくなっていることが問題の深刻さに拍車をかけています。


その仕組が悪いからといってすぐに新しい仕組みに変えることは不可能ですから、そいいった根深いジレンマが内在していることを理解した上で対処するしか無いと思います。


本来、人を幸せにするためにあるはずの教育制度が、最も人を不幸にする制度と同じ仕組で成り立っているという矛盾を解決することは残念ながら簡単なことではないようです。





PS)
いじめや子供たちの人間関係に限らず、かつてその教育によって育てられた大人の社会や人間関係でもこういった教育制度の影の影響を色濃く反映しているように思われます。表面的にはいろいろな理想や理念が語られる一方で、本音では自分の利益ばかり追いかけている大人が残念ながら大多数ですし(大津の教育委員会のオヤジどもの弁解を見ているとまるで旧日本軍の参謀本部を見ているような気がします)やたら競争心ばかり強い人間や、比較と優劣で勝ることばかり望んでる人間や人の目ばかり気にして評価ばかり求めている人間、そして自分や他人の命の重みを感じられずいとも簡単に損なうことができる人間など、すべてとは言えなくとも、それら普通に見られる大人の有様の中に現在までの教育制度が長年生み出してきた悪弊の影響を強く感じさせます。かつて中学生どうしが戦争して殺しあうという非常に暴力的な設定と描写で話題になった深作欣二監督の「バトルロワイヤル」という映画がありましたが(暴力的すぎて一度も見たことはありませんが)戦争と中学生を結びつけたという視点はこういった学校教育制度が内在する軍隊的な性質を婉曲的に指摘したものかもしれませんね。いずれにしても、このままでは教育される人間も教育する人間も、かつてされた人間も幸せになれませんし、そういったすべての人たちの集合意識で成り立っている社会全体も幸せになれないのは必然の道理です。




※教育制度の功罪の”罪”の方に着目して書きましたが、同様に功の要素も多分にあることも忘れてはいません。



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プロフィール
HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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