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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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今日の朝刊に少しショッキングなニュースが載っていました。


残念な不祥事が相次いでいるJR北海道の今後の安全に関する追加投資計画の概要が発表され、その中で2016年度までに88両の新車を導入し老朽化した国鉄型車両を置き換えるとありました。


その内訳は、キハ183系の一部を置き換えるためのキハ261系が28両、残りが札幌近郊輸送用の733系で60両製造されるそうです。


そして、個人的にショッキングだったのが赤電車こと711系電車が2013年度末で完全に引退することが明記されたことです。


当初の予定では2014年以内ということだったので計画が少し前倒しされたようです。


一ファンとしては、最近の問題からくる対応策が優先されて車両置き換えの方は後回しにされるかもしれないと淡い(不純な)期待を抱いていただけに、覚悟はしていましたが正直やっぱりそうきたかぁ~(-_-;)、といった感じです。




野幌駅に進入する国鉄復元色2編成目のS-114先頭の夕方の手稲行き普通列車238Mです。

このおなじみの電車が引退するまであと4ヶ月ほど、本格的なカウントダウンが始まりました。






葬式鉄と揶揄されてしまうかもしれませんが、物心ついた時からお馴染みの電車がいよいよ見られなくなるということで、いつものことながら精一杯の記録を残して悔いの残らない別れを告げようと思います。


鉄道が特別好きでない人にとっては何もそこまでと思うかもしれませんが、なぜか物心つくと同時にこの交通機械に魅せられてしまった者にとっては、まるで自分の存在の一部分を失うかのごとく切ない気持ちにさせられる辛い別れであります。




行き違う721系と新鋭733系。

そして、とうとう札幌圏の路線では、待てど暮らせどJR世代のステンレス電車しか走らなくなるわけですが、やっぱり味気ないなあというのが正直な心境です。





作られてから30年以上も走り続ける鉄道車両と言えども、耐久消費財である以上ある一定の使用期限をすぎれば取り替えられることはやむを得ませんが、ある一時代においてのみ可能な技術と思想に基づいて形作られたデザインと存在感があっさりと失われてしまうことは毎度のことながら残念でもったいない事だと思います。


願わくば、最近日本全国で相次いで登場している既存の鉄道車両を活かした観光列車に衣替えして、例えば札幌~小樽間の日本海沿いの身近な絶景車窓を楽しめるレトロ列車として運航することが出来るのではないかと思います。


現実的に難しい情勢なのは重々承知していますが、窓の開閉が出来る711系の特徴を活かして潮風を直に感じられる観光列車として運行すれば、SL列車とは又違った身近な存在として観光の目玉になると思います。


大きく振り返ってみると、今回引退が発表されてしまった711系、オホーツク系統で健闘しているキハ183系、そして未だにローカル線の主力として、そもそもこの車両なくして地方路線の旅客輸送は成り立たないのではないかと思われるキハ40系、これらは全て国鉄最後の隆盛期である昭和50年台に相次いで登場しました。


これらの車両は戦後鉄道ルネッサンス期とも称される昭和30年台に登場した数々の名車の系譜を受け継いだ最後の世代にあたる車両です。


戦前の鉄道はまさに国家のための最重要交通輸送手段であり、国全体を上げて戦争に突き進むための文字通り大動脈として人員や物資を運び続けていました。


その大きな激流のような時代が最後に行き着いた終戦の日を堺に鉄道に求められる役割も大きく変わり始めました。


国全体が極度の物資不足に見舞われた戦後数年間を経て、ようやく民主主義の国としての基礎が築かれ人々の生活も落ち着きを取り戻しつつあった頃から本格的に鉄道の復興もスタートしました。


それまでの重厚長大な思想で形作られた重く暗い色調の装いから一変し新しい時代の風を象徴するような明るくカラフルな装いの鉄道車両が数多く登場しました。


さらに軍事一辺倒だった戦前では取り入れられなかった画期的な技術の数々が相次いで実用化され見た目だけに留まらない中身も含めて洗練された仕上がりになりました。


高度経済成長期と重なり、それらが一斉に花咲いた昭和30年台から40年台が日本の鉄道黄金期と言われる所以ですが、そこには当時の全ての人々が別け隔てなく快適な移動交通手段を得られるようになり、さらに日本全国、地方から大都会へ至るまでネットワークが行き渡りその恩恵に預かれない人や地域を作らないという確たる思想があったように思われます。


ところが、そういった理想的計画も時代のあまりにも早過ぎる流れにはついていくことが出来ず、交通の主役が鉄道から道路と自家用車に移行するモーターリゼーションの急激な進展により逆境に転じます。


さらに、日本全国津々浦々まで均一なサービスを実現するという考え方は、常に新しく個性的な文化を求める当時の世間一般の意識からかけ離れたものになり、いつの間にか古く寂れたものの代表のように見なされるようになりました。


一方で、その時代遅れと見なされた鉄道の姿に強い郷愁の思いを感じながら追い求め続けた人々の活動が現在まで絶えること無く続く鉄道愛好文化の根底にあると思います。


つまるところ全体の福祉向上に根ざした鉄道が持つ思想的背景からくる、乗る人、見る人すべてを分け隔てることなく受け入れる懐の深さとそこからもたらされる温もりが、今でもけっして少なくない数の人々を魅了し続けている要因ではないかと思います。


民営化から25年の節目を迎えて、国鉄時代の面影を残す車両が相次いで引退する時期に数々の問題が噴出していることに何か因縁めいた時代の趨勢のようなものを感じさせます。


これまで時代の絶え間ない流れと勢いに翻弄されながら、どうにか活路を見出そうと効率化を追求することに奔走した結果が功罪両面ではっきりと示されているような気がします。


さらに大きな視点で今とこれからを見渡せば、利益追求のための効率化優先の社会が世界全体で完全に行き詰まりつつあります。


かつて鉄道が時代の主流からかけ離れた要因と見なされた、分け隔てない全体の福祉の向上を追い求める考え方が古くて新しい文化として再び必要とされる時代が来るかもしれません。


時代の新たな節目を迎えた時、今ある鉄道の在り方も古いものとなり、かつてそうなったように新しい在り方が一斉に模索され、今見られている姿とは全く違った鉄道として再生されることを予期します。


長くなりましたが大好きな電車の勇退を背景に時代の流れを読み解いてみました。
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プロフィール
HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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