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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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いよいよ今月末の石油列車旭川便及び帯広便の廃止が間近に迫って来ました。

そして石油列車廃止の煽りを受ける形で終端の十勝鉄道と北旭川の側線も命運を断たれる形となりました。

※写真は新札幌で撮った札幌便の後ろ姿です。



石油列車の札幌便はかろうじて存続されて全廃を免れましたが、おそらくそれもあと数年以内にタンクローリーに移行する体制が整い次第廃止の運命でしょうし、2年弱後の石北貨物存廃の結論が出されれば道内の鉄道貨物輸送網は一昔前では考えられないほどの縮小期を迎えます。


さらに長い目で見ればコンテナ輸送も安泰とは言えず、末端区間の釧路、富良野のみならず大動脈の道内~本州路線も新幹線の開業による並行在来線の経営分離問題などにより運航コストの増大による減便や撤退などもありうることだと思います。


こういった鉄道衰退の流れが国鉄解体以来の”時代の流れ”の一括りですまされてしまうことに最近では疑問と違和感を抱くようになっています。


というのも鉄道貨物輸送は国鉄末期に車扱い貨物が大整理されてコンテナ輸送が主流となり、JR貨物発足後も合理化が続けられ現在では相当な効率化が達成され、これ以上縮小するよりもむしろ鉄道貨物輸送の自動車輸送比1/10ともいわれる省エネルギー大量輸送を生かした利用拡大を図る時期に来ていると思います。


にもかかわらず、なおも鉄道が貨物輸送のみならず旅客も含めて年々縮小を余儀なくされている理由は採算性や需要減といった理由以外にも何かありそうな気がしてなりません。


そこでひとつ考えられることは道路利用の拡大と自動車産業の振興との兼ね合いです。


もともとこの国の物資輸送の多くは近代国家として成立した直後から鉄道が大部分を担って来ましたが、戦後の経済発展と道路整備の進展とともに自動車輸送に切り替わっていきました。そして、そういった時代の流れはやがて自動車産業が国の経済を支える輸出産業の柱となるほど成長させ、更にその背後では自動車利用の右肩上がりの増加とともにほとんど無制限に道路を建設できる公共事業天国を現出させました。


つまり鉄道輸送を切り詰めて自動車と道路の需要を増せば経済の発展がはかれるという図式が長らくこの国全体で適用されてきたということです。


しかし、その図式が目論見通り上手く通用したのは経済が右肩上がりの成長を続けられたバブル崩壊前までで、リーマン・ショックを経た世界同時不況の現在ではメリットどころか国全体の借金が雪だるま式に増え続けるという、かつての国鉄財政赤字をはるかに凌ぐ構造的弊害の大きな要因となっています。


かつての国鉄も含め鉄道や今話題になっているHACの問題など、それらの赤字や採算性の問題を掲げられるとさぞ社会の足を引っぱり国民の負担になっているかのように思わされますが、実際にはそれらの桁10個分以上の負担を強いてきたのが道路やその他の巨大なハコモノ公共事業だったことは見逃してはならない事実です。



鉄道は赤字まみれな一方で道路には赤字が存在せず一方的に利益のみを生み出してきたということは現実的にありえません。

鉄道はそれ自体が独立した事業としてみなされ収支が算出されますが、道路は純粋な公共インフラとしてその経費は国全体の収支の一部として扱われます。

なので日本全国すみずみまで道路を建設し毎年のようにアスファルトを引き直しても赤字とはみなされず全て国全体の予算経費としてどんぶり勘定です。

そのどんぶり勘定を支えてきたのが他でもない燃料税やら重量税などあらゆるレベルで徴収される国民の税金なのですが、ついでにいえば一般税からも賄われますから自動車を使うかどうかにかかわりなく無差別負担ですね。

しかし、そういった身の丈を全く考えずに広められた道路網やその他の公共インフラを今後も同じ水準で維持管理することがほぼ不可能になりつつあることが最近の算出によって明らかになってきました。


これからは便利な自動車による新しい時代が来ると言われ続けているうちに見えない赤字が膨らみ続けて国民全員がそのつけを払わされる日が着実に近づいているようです。


国鉄が民営化されてから鉄道は特定の補助金以外は税金を投入されずに何とか維持運営されてきました。

来るべき経済大縮小時代にはかつての国鉄時代とは異なり、かえって財政にやさしい輸送機関として鉄道が復活を遂げる日がくるかもしれません。



PS)
今日の記事は何やらかなり鉄道擁護論に傾いてしまいましたが、今までの社会の現実がそれ以上に傾いた状態で長年推移してきたことを鉄道にかこつけて記したかったからです。いま日本の社会全体で高度経済成長期以降に作られた道路や河川、ダムやトンネルや橋、上下水道に至る公共インフラ全てがのきなみ老朽化して更新時期を迎えており、それらの費用を算出すると今の国や自治体の財政ではとても賄い切れない規模の額で、このまま行くと10年先には日本中でこれらの老朽化した施設があちこちで使用不能に陥り修理できずに打ち捨てられるようになると言われています。今後こういった問題がマスコミなどに取り上げられ一般に周知されるようになる頃には今の年金問題を凌駕する大問題になっているはずです。そしてそういったツケの支払いは増税や公共サービスの低下といったものに収まるほど生易しいものではなく、最終的にはデフォルトや円通貨の暴落も含めた大変な混乱を伴う事態も想定されます。もうそこまで行ってしまうと世の中全体の価値観はひっくり返って今までの常識的価値判断基準はことごとく通用しなくなります。そしてお金や経済の価値もすっかり変わって今まで発展とみなされてきたものがそうではなく衰退をもたらし、逆にこれまで軽んじられていた分野が重きを置かれるようになったりします。そういった大変換がいつ起きてもおかしくないという状況を踏まえた上で鉄道という一分野を見つめ直すと今までとは違った社会の側面が見えてくるかもしれません。


 
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HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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