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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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今日、たまたまNHKのドキュメント番組「クローズアップ現代」を見ました。

テーマは有名漫画のワンピースが2億冊も売れている空前のブームの背景についてで、そのことを専門に研究している大学院の教授の話などもあり大変興味深い内容でした。

ちなみにぼくはまだワンピースを一度も読んだことのない、ある意味化石のような人間かもしれません(^^A)

その存在やキャラクターの姿形くらいはいくらなんでも知っていましたが、まさか大人から子供まで総夢中にさせるほどの国民的漫画になっていたとは知りませんでした。

内容やストーリーは主人公と仲間の団結集団格闘勧善懲悪モノという往年のジャンプ漫画以来の超王道路線ですね。

ジャンプといえば、ぼくが脳無厨房だった頃が全盛期でクラスでほとんど全員が毎週買ったり回したりして読んでいましたね~。

ドラゴンボールZに始まり、スラムダンクにこち亀、幽白にジョジョなどそうそうたる名作がしのぎを削るように連載していましたから、たしかに面白かったですね。


それでも高校に入った頃になると、あの作品における超マンネリ路線に飽き飽きしたせいか、いつのまにか卒業していました。それ以来、友達の家などでハシ読みさせてもらう以外には全く漫画を読まなくなりました。なので、今となってはワンピースや他の有名作も全く読んだことのない超浦島太郎状態です。


今日のドキュメントでは、ワンピースのメッセージ性に感銘を受けて立ち直った人や、主人公をかばって死んでいく仲間のシーンに思わず涙する主婦の方が紹介されていました。ワンピースが読む人にそれほどまでの影響を与える漫画であることに驚きました。

でも一方でちょっと複雑な気分にもなりました。

番組内の分析では、主人公と仲間の強固な結束と友情、ぶつかり合っても本音を受け止め合う信頼関係など、おおよそ現実社会では希薄になっている人と人の繋がりと結びつきがふんだんに描かれていることが、これだけの支持と人気を集める秘密と結んでいました。しかし、逆を言えば現実の社会がそれだけ人間性を失っていることの裏返しでもあるわけですよね。

所詮、漫画の中の理想世界であって、どんなにイイ事言っても現実では無意味などと、ありきたりで斜めにうがったことは申しません。むしろ、そのメッセージから現実に自分の人生を建て直したり、奮い立たせて頑張れる人々が沢山いるわけですから良い作品に違いありません。


でも究極的な意味で(そこまで考え込む必要はないのですが・・・)現在、多くの人々が抱える疎外感と孤独をワンピースのメッセージで救えるかといえば難しい気がします。

もちろん、漫画のメッセージ一つでこの世の悩みや憂いを一掃出来るなどとは思っていません。ただ、そのメッセージでズバリ救われる人と、その範疇から外れてスルーする人に分かれる気がします。

そこを分ける線は一体なんなのか、善人か悪人か、誠実か不誠実か、運不運か、楽観主義か悲観主義か、はたまた前世の行いが悪かったかどうか、オーラの色か、信仰と無神論の問題か、、、そんなことまで考え出すと深~くなりすぎるので、あえてその点には触れないでおきます。触らぬ〇〇にたたりなし、、( ̄人 ̄)


そんなディープなことまで考えなくても一つ言えることは、単純なことですが描かれた理想の世界と現実との間に埋めようのないギャップが存在することだと思います。

そのギャップということから考えてさらに気がついたことは、現実は漫画のように明確な敵というものが存在しませんし、ゆえに分かりやすい勧善懲悪でも無いということです。

しいて敵がいるとすれば、この社会の仕組みそのものであったり、あるいは自分自信の内面の弱さ、未熟さ、エゴ、その反映としての他者の存在だったりするのではないかと思います。

強大な敵が存在することによって結ばれる団結と友情は古い時代の幻想です。

(そういえば番組内でジブリの鈴木Pと作者の対談が紹介されていましたが、その中で鈴木Pに古い任侠物のようだと指摘されたことに対して、作者は7人の侍をイメージしたと答えていました。)

仲間が一致団結して敵に立ち向かい固く結ばれる友情物語はたしかに美しい物語ですが、反面、それは敵との戦いと犠牲、対立が無ければ成り立たないものです。

もしそれをフィクションの一線を越えて現実の中に見出そうとするならば、好んで敵を見つけて自ら対立を求め続けることになります。

それは常に誰かを悪者と決めつけて自分を物語の主人公的立場に置こうとするに等しいわけですから、かなりエゴいことになってくるわけですね。物語の中の美しい人間関係に憧れて現実の中に同じ関係を求めると、かえって他人との摩擦や対立、裏切られたと思うような皮肉な本末転倒が起きてしまうこともあります。

それは漫画に限ったことではないですが、人を引きつける魅力的な創作物の多くには、本来人間が誰でも持っている自己中心的な願望が余すことなく美化されて肯定されて描かれているという側面があるためです。だからこそ多くの人達の心を掴んで離さないのですが、同時にそういった優れた作品ほど毒もあるということですね。

漫画一つ読むことに、いちいちこんなまどろっこしいことを考える必要はありませんが、誰しもが避けて通れない人間関係の問題については少し深く考えておくのも悪くない気がします。

漫画から離れて久しいですが、機会があったらワンピースは読んでみたい作品ですね。実際に読んでみると印象も変わるでしょうし、また違った魅力にも気が付くと思います。


最後にぼくが気になった点について書いておきます。


それはワンピースが描く多種多様な個性を持ったキャラたちが、その反面、弱さやトラウマを抱えながら仲間同士支えあって乗り越えて行くという理想像が現実の世界にも求めることがはたして可能なのかどうかということです。


おそらく、その答えはフィフティー・フィフティーでしょう。


人と人がつながり助け合うことは理想でも何でもなく、意思さえあれば誰でも出来ることです。

一方で人と人の間には取り去りようのない孤独の壁が存在します。

孤独の壁はみんなで助けあっていっせいに越えることはできません。

なぜならそれはその人固有のその人だけの越えなければならない壁だからです。

孤独の壁を自分の力で超えた人同しだけが、本当の意味でお互いに思いやり助け合うことができるとのだと思います。

共通の敵を作って結びついた人と人の関係は本物の絆にはなりません。

それでは常に対立と争いと犠牲が絶えること無く続くのが現実です。

孤独を乗り越えることは心の平穏を手に入れることです。

そこまで至ってはじめて平和な本物の人間関係を築くことができます。

人が孤独である理由はそこに至るためだと思います。


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プロフィール
HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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