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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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ここ最近またJR関係で不祥事が相次いでいますが、そのことについてあーだこーだと言う気はもうほとんどありませんが、少し気がついたことだけ書いておこうと思いキーを叩いています。

先日起きたスーパー北斗出火事故は未だ原因が謎のままで、密閉された空間の配線外部が焦げるという難解な事象でした。

以前千歳線を走行していたスーパーおおぞらの配電盤出火事故と同じ種類の事故ではないかと想像してしまいますが、細かな配線や電気機器に関しては素人マニア程度の知識ではお手上げですが、それでも思いつくままに書き進めたいと思います。


  前回床下配線からの出火事故を起こしたキハ281系にしろ故障や事故が多発しているキハ283系もJR世代前期の車両で振り子システムや軽量ステンレス車体など国鉄世代の車両に比べて顕著に合理化された世代の車両たちです。

さらにこういったJR化以降のハイテク世代の車両を特徴づけるものに制御システムのデジタル化が上げられます。

運転台のモニターなどを見れば解りますが、国鉄以前のアナログメーターが並んだ車両の運転台に比べて格段にシンプルになり、その分の情報表示や制御方法を搭載されたコンピューターシステムに依存しています。

鉄道車両に搭載された種々の複雑な機器の制御方法をコンピューター化することで電気配線や油圧、空気配管の数を劇的に減らし、さらに信号のデジタル化によって複数の機器をより少ない配線で制御することも可能になりました。

そうすることで車両のコストを下げ、軽量化によって燃費を抑え、日常の検査部位を減らすことで車両の運用効率を上げ予備車の必要数を減らすことが可能になるなどの大きなメリットが生まれました。

ところが、こういった高性能ハイテク車両が走り始めて20年を超えて老朽化が本格化すると、そのハイテク化の恩恵が大きく裏目に出始めました。

アナログ式の制御システムでは配線や配管はより複雑で多くなりますが、それぞれの機器に対してほとんど必ず一対の配線やスイッチ、配管類が張り巡らされているので、いざ故障した時にその原因となった部位を追跡し特定できる構造になっています。

その一方でコンピューター化された制御システムでは、車両内に多数点在する機器同士をデジタル配線でチェーン化してつなぎ合わせることで配線は単純化されていますが、その先の配線は全てブラックボックス化されたコンピューターに接続されています。

そのために、もしどこかの部位に異常が発生した場合、その関連した機器と制御系どうしの原因を配線や配管を通して特定することが難しい構造になっています。

さらに、もし一箇所の機器に異常が生じた場合、数珠つなぎされたデジタル配線の特性上、他の関係のない機材までエラーが及ぶ危険性が高くなります。

以上のようなデジタル制御システムの性質上、従来からのアナログ式制御システムのように異常箇所を特定したあとで、その部位だけを修繕したり新品に交換することで完全な機能を回復をさせることも困難になります。

なので、高度なデジタル制御システムが寿命を迎えた場合、不具合を起こした部位だけでなく、システム全体を丸ごと新品に置き換える必要性が生じます。

(結果的に国鉄以前のアナログ技術に根ざした旧来の車両に比べて、JR世代の車両のほうが取替えサイクルが1/3から半分程度に短くなっています。)

そういった大胆な機材の一斉取り替えが、極度に信頼性と確実性が求められる鉄道車両において、その生命線である安全性を維持するためにより一層求められるという結論に至ります。

でもそうするためには言うまでもなく莫大なコストを負担する財力が必要になります。

株式上場企業のJR東日本はその豊富な資金力を背景に短期的なサイクルで新型車両を開発し、自社系列の車両メーカーで大量生産することで大規模で効率的な置き換え計画を実施しています。

大量に必要な首都圏の通勤電車では90年代前半の元祖ハイテク電車の209系に始まり、E231系からE233系の大量増備に至り、さらに先月には2000年代前半に投入された山手線用E231系500番台が早くも新型のE235系に置き換えられることが発表されています。

これほどまでに早い新型車両の投入サイクルが実施される背景には、超過密高頻度運転の山手線をはじめ首都圏通勤路線の安定運行を維持するためには、デジタル式車両の信頼性を完全に維持出来る浅い経年のうちに新型車両に次々と取り替えていくという方針に至ったのではないかと想像されます。

(その一方で日本第二の人口を抱える大阪市の環状線を運行しているJR西日本は車齢40年前後の国鉄型103系や201系に大幅な更新修繕を加えながら運用しつづけていることとは対照的です)

発足以来、赤字必至の路線網を維持しながら急速に高速化を推し進め、国が定めた経営安定化基金の運用益と事業の多角経営化で何とか収支のバランスを保ってきたJR北海道ですが、ここにきて線路、車両双方の深刻な老朽化が極まっています。

さらに車両面においては、これまでに述べたとおりハイテク化されたJR世代車両の想定よりも早い老朽化と、国鉄時代から今現在に至るまで第一線上で走り続けている旧来の車両の老朽置き換えの時期が重なりつつあるという事態が追い打ちをかけているようです。

鉄道車両にかぎらず、あらゆる機械製品には寿命があり、当然ですが使い続けていく内に徐々に劣化摩耗が進行し修繕が頻繁に必要になります。

その機材が新製された時にかかったコストを回収し終えた後に老朽化が見られるようになると、その修繕にかかるコストと増えた手間の分と新しい機材に取り替えるコストを天秤にかけつつ経営的な状況も加味しながら取り替えられていくことになります。

そのサイクルが一般の鉄道車両では標準で約25年程度、新幹線などより高度な安全基準が求められる場合は15年前後とより短くなります。

今後、老朽化した車両を新型車両に置き換える安全対策を進行するとありますが、アナログ式ながら長寿命の国鉄車両を置き換えた後も、デジタル化されたJR世代の短命な車両置き換えのサイクルがより早まるといった重圧も加わるようになります。

さらに北海道新幹線開業に向けて東北新幹線E5系と同等のH5系を40両新製した上でさらに2035年の札幌延伸を見据えて函館に総合車両基地も建設中です。

新幹線車両の平均寿命を考えると札幌延伸以前にこれらH5系は取替えのサイクルが訪れることになりそうです。

それまでに在来線の施設や線路網を立て直し、車両の更新サイクルの適正化を図り、安全性の完全な回復を実現した上で経営を安定化させる必要性があります。

でもそれは、昨今の現状を傍から見ている限り、とてつもなく高く乗り越えることが困難なハードルに思えてなりません。



PS.)
先のスーパー北斗床下出火事故の件ですが当該車両のキハ281-4号に昨年函館へ行った際に乗車したりしています。今回の事故は長万部手前で発生したようですが、もう少し手前で起きていたら長大な静狩トンネル通過中だったかもしれないわけで、もしそうなれば石勝線火災事故の二の舞いになっていたかもしれません。煙が上がった床下を開けてみると汚れやタンポポの綿毛まで入っていたようで、つまりは新製されてから20年以上当該部分は開けられること無く放置されていたのかもしれません。一般家庭内のコンセント周りにおけるトラッキング火災もそうですが、電気配線廻りの汚れやホコリの堆積はかなりの危険性を伴います。また本文で述べたとおり、コンピューター制御化されたハイテク車両の配線には、高周波数のパルス波形を伴うデジタル信号が縦横無尽に行き交っています。これらのデジタル信号のやりとりで制御される機器同士は、その信号に含まれる一秒間に数万回以上の高速で振動するパルス波形のタイミングを正確に読み取ることで動作しています。これらの信号が通る配線や配電盤の計器類に接触不良や劣化が生じている場合、パルス信号のタイミングに悪影響が生じて機器同士のエラーや偶発的な誤作動の原因になります。アナログの電気配線の場合は通電と絶縁がしっかりと保たれた上で、スイッチや機械式のリレーなどが正常に開閉動作すれば問題なく動作しますが、デジタル機器の場合は高周波のノイズや電波、静電気などにも敏感でより厳重なシールド対策などが必要になります。こういったデリケートなデジタル機器の配線周りで汚損や酸化、接点不良などの劣化した状態を放置すると確実に動作異常をきたし始めます。さらにはそういった劣悪な仕様状態が長引くとシステム全体の寿命を短くしてしまうことにも繋がります。ハイテク車両が主力となっている最近の大手私鉄やその他のJR各社の工場などで分解整備を受けている車両の様子を見ると、電気系統関係は徹底的に清掃が行き届き汚れた配線一つ見当たらないほどに仕上げられています。清掃を徹底するというメンテナンスの基本中の基本も合理化されたマニュアルの項目から抜け落ちることでおざなりになってしまったのでしょうか。

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HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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