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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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昨年の三月ごろから始まった野幌駅高架線化工事が進展中です。

仮設のホームや線路、跨線橋などが作られ、仮設線路の切り替えなどが続いてきましたがとうとう高架橋本体の柱が立ち始めました。

RIMG7169.JPG  跨線橋から、逆光で分かりずらいかもしれ
  ませんがこんな感じです。











RIMG7174.JPG  現上り線ホームから、旧来から残る部分
  はこの上り線ホームと南口駅舎だけに
  なりました。

  それも現在反対側に作られている仮設
  上りホームが完成すると線路ごと移動
  され取り壊されることになります。




 


ぼくはもともと高架線工事には反対です、この財政難と先行きの見えない不景気の時代に数百億円に上る多額の借金をしてたった一ヶ所の、それもこの工事の名分になっている開かずの踏み切りでもない踏み切りを解消するためだけに高架線を作るなどどう考えても納得できません。また、おそらくどんなに立派な駅が出来ても利用客が大幅に増えることも、人口が増えて経済が大きく発展することも無いでしょう。ただ確実なのは将来に負担が残るということだけです。

その一方で、工事現場で働いている人達を見ているとこの工事によって多くの雇用が守られていることが分かります。でも、その雇用は工事が続くまでで終わってしまえば次の工事がない限り維持されません。そういう理由で次から次へと公共工事を続けていく必要があるのでしょう。

2001年の構造改革以来、北海道の公共事業はかなり減らされているようですが無理もないことです。高度経済成長の時代なら公共工事をすればするだけ発展し税金になって帰ってきますが、安定成長の時代になるといくら工事をしても投資に見合うだけの税収の伸びは期待できません。

それでも延々と21世紀まで公共事業依存経済が続いてきた理由は、高度経済成長時代からバブル期までに巨大化した建設業の規模をそのまま維持しようとしたことにあります。本来、発展する要因が先にあってそこに投資するから発展するという論理を、投資すればするほど何でも発展するという右肩上がりの神話的な発想に転倒することであれだけ無駄な公共事業を乱発してきたのです。

普通に考えればわかる事ですが、一度建設された建物は20~30年以上は使われます、そういった建物や施設を毎年作っていくことに無理があります。大都会なら可能かもしれませんが、人口が少なく本来需要の小さい地方では無理なことです。安定した持続発展が本来難しい建設業が多くの地方で基幹産業に位置づけられ、そこに多くの雇用を依存している点に問題の根深さがあります。

野幌駅高架工事を見ていると現代の日本が患う病の縮図を見ているようです。でも今となっては声高に批判する気はほとんどありません、作ってしまったものは仕方ないですし問題の根本は公共事業ただ一つにあるのではなく、今まで日本社会の基盤を支えてきた世界経済の潮流が徐々に日本から離れて行き、その変化に追いつくことができない現実にあるのですから。少しでも早く持続可能な新しい産業構造へ方向転換することを願っています、そうならなければ恐らく地方の経済は成り立たなくなるでしょう。


最後に、野幌駅高架工事に関する話題を一つ紹介します。ぼくとしては非常に残念なことですが駅に隣接する農協の古いレンガ造りの倉庫が取り壊されました。

IMGP3716.JPG










かつて、貨物輸送があった頃は側線が敷かれ貨車の積み下ろしが行われていた駅とも関りの深い倉庫でした。高架工事とともに区画整理工事が完成すると、この辺りの風景も一変するでしょう。そうなった時、このレンガ倉庫のような古い建築物が残っていることにより、過去の風景と未来のそれとの接点となり歴史を省みるよすがにもなったでしょう。

レンガの街を標榜する野幌地区が貴重なレンガの建築物を、こうもあっさり取り壊してしまうことに矛盾を感じます。コンクリート建築に後からレンガタイルを貼ったものは本物のレンガ建築とは言えません。ひたすら新しいものばかり追い続けて、古いモノの持つ価値を一切省みず捨て去り続ける姿勢には失望するほかありません。

96dd9ad2.jpeg











工事が始まる前の野幌駅界隈の写真です。本来、人は変わらぬ風景に心和み癒されるものだと思います。

しかし、いつの時代もそうですが壊しては作り、作っては壊しを繰り返します。あるものを長く活かしてよしとすることに飽き足らない社会の姿勢に虚しさを感じます。

古いものを切捨てて新しいものに統一することが、本当の意味で新しいことではないと思います。古いものに新しい価値を見出し、かつそこに新しいものを継ぎ足し調和させることこそ本当の意味で新しい創造だとぼくは思うのですが。    
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HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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