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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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昨日の続きを書きます。


たしかに日本の若者の現状を見ると、全部とは言わないまでも総じて良好な状態とは言がたいことは誰もが認めるところではないでしょうか。

そういうふうに偉そうに言っているぼく自身がすでに浮世から離れてしまった野良公同然の人間ですし、そういう類の人間がごく少数の例外ならまだしも、すでに落ちた人、これから落ちそうな予備軍を含めると若者全体のうち相当な数にのぼると思います。


それを今さら誰が悪い、大人が責任取ってくれ~!などと叫びながら訴える気持ち(元気)は無いですが、今日の台湾人青年と自分たちの格差を認識するとき、その原因はどこにあるのかを考えてみると、それは日本の陳腐化した教育制度に行き当たるのではないかと思います。


台湾人をはじめアジアの新興地域の人々と、自分たち日本人の知的水準や認識能力などを比較して、自らをこうまで卑下する理由は何も今日会った青年一人の印象に依るだけではありません。


                           ★


以前放送された、台湾やインドなどのアジア新興地域の発展の様子と日本の先端科学ベンチャー企業の現状を特集したNHKのドキュメント番組を見たときにつくづく感じたことですが、アジア新興国の先端企業の、単なる右肩上がりのガムシャラ路線ではないスマートな発展ぶりと、日本の将来有望な先端技術を担うベンチャー及び中小企業が、発展どころか日々の運転資金を工面するための金策に喘いでいる現状のギャップに唖然としてしまいました。

台湾、インド、シンガポールなどの先端新興国では、日々企業同士で凌ぎを削っているのはもちろん、投資家も有望な企業には積極的に投資して活動を支え、一方では、まだ実用化前の最先端技術を先行投資して研究活動を支えて将来の発展の種を早々に確保しています。このように、投資家、起業、研究機関との間で潤沢に資金が流れることで、アジアの新興国は今や世界一の目覚ましい発展を遂げようとしています。その結果、シンガポールでは国民の内100人に1人が億万長者という、羨ましいというよりは少々恐い感じがするほどに発展しています。


対して日本では、中堅の半導体製造メーカーがリーマンショックの煽りを受けて経営が行き詰まり、何とか会社を存続させようと国内の銀行や投資家に融資の依頼を持ちかけるも応じてくれる所はなく、台湾の銀行に何とか融資してもらい(その額わずか5億円・・・)再生を模索している様子や、もう一つの例では、海外からも注目される新技術を開発しているベンチャー企業が資金繰りに困り、同じように国内の投資家に援助を求めても応じてもらえず、仕方なく台湾の投資家から資金を得て何とか研究開発を続けているという有様でした。

それはつまるところ、日本のそういった企業や開発した技術がいずれは台湾のものになってしまうことを意味します。なぜ日本の投資家が日本の企業に融資しないのかというと、将来実用化されても予想されるほどの利益を上げる確証がないなどのリスクを嫌って、土地や国債などの安定した資産ばかりに投資が集中しているためです。つまり、日本中の金持ちの人たちは投資といえば自分の資産を減らさず増やすことであって、自分の国の発展に貢献する事業を支えようという意識がほとんど無いように思えます。また、そういった投資家や資産家の人たちに、先端分野でどういった技術や研究が後々に重要になってくるのか判断できる知識も意識も圧倒的に不足しているのでしょうね。


そういった一例として、ぼくが知っているものの中で、日本の薄型テレビ事情のここ10年の成り行きがあります。当時、ブラウン管TVに取って変わって液晶などの薄型TVが急速に普及することが予想されていたにもかかわらず、日本の主要メーカーの重役たちや投資家などはそれを認識せず、特許の申請や製造技術の権利獲得を怠った結果、いち早くそれらを確保した韓国や台湾の無名メーカーが10年後に立場が逆転するほど飛躍することを許してしまったのです。

その時、日本のメーカーの上層部が対応をこまねいた理由はブラウン管TVの売上が好調で、その時点では何の儲けにもならない液晶技術に資金を出すことを渋ったのと、そのブラウン管の売上に自ら水をさすような事業を起こしたくないという考えだったようです。当時は弱小ベンチャーに過ぎなかった韓国、台湾などの企業と投資家がそのスキを突いたわけです。その結果、今では世界の液晶パネルの生産シェアの半分を台湾企業が占めるまでになりました。

こういった”負け戦”の事例はここ10年、日本を取り巻く政治経済のあらゆる分野において見られることだと思います。また、起業家、投資家、研究者、それらを支える行政や政治家にいたるまでの、各々社会における重要な舵取りを担う立場の人たちの意識レベルの差が、やがて追いつくことが困難なほどの差を生じさせたのだと思います。


                            ★


新興国の国々が今、優秀な人材を輩出してあらゆる分野でその能力を発揮して国の発展を支えている要因となったのは進んだ教育制度にあったと思います。1980年代頃、アジアの国々は圏内で唯一の先進国である日本に追いつき追い越すために長期的な計画を練り始めました。その第一歩にして最大の礎である、真に優秀な人材を育成するために、実効性のある新しい教育制度を整備しました。その教育制度によって育てられて競争を勝ち抜いてきたエリートたちが大人になって社会に出て、今まさに新興国の躍進を担っているのです。


対して日本は、最高学府東大を頂点としたピラミッドを中心に、その中で長年にわたって偏差値を競い合い熾烈な進学競争が繰り広げられてきましたが、教育の中身については50年間ほとんど代わり映えのしない内容を繰り返し、毎年金太郎飴のような人材を世の中に輩出し続けています。そういった時代のニーズからかけ離れた教育内容について、数限りなく批判や提言がなされてきましたが、一向に改められる気配は見えません。特に、日本人に英語を話せないようにするためにやっているとまで揶揄される英語教育はその代名詞のようになっていますが、それも含む時代遅れの暗記教育が一向に改められないのは、それがもはや社会機構の一部として定着しているからなのでしょうね。


                            ★


それにしても、その金太郎飴教育の紛れもない産物である、それもどちらかというと出来が悪い部類のぼくが、教育論についてイッチョ前に語るのはよく考えるとオカシナハナシですね~(^^;)


教育制度の内容と質の違い、その結果社会全体に及ぼす影響の違いについて、日本のそれと比較することは一面の見方に過ぎません。なので、今、日本の落日とアジアの飛躍の要因を全てここに結びつけてしまうのは拙速だと思います。

また、ぼくは教育制度を変えてもっと優秀な人間をいっぱいこしらえるべきだとか、そうしなければ日本の未来が危ういなどと主張する気は全くありません。


というか、ぼくはもともとエリートでも何でもないペンペン草の雑草系です。そして、日本の教育論や知能レベルがどうのこうの言う前に、手前の健康状態を日々維持していくことで精一杯ですし、その上でこの先どう生きていくかの方がずっと大事なことです。


それでも、こういった事柄を少しでも認識しておくことは無駄にはならないと思っています。この先、時代の変化はますます加速して、否が応でもその変化に対応していかなければならなくなります。その時、これまでの古い常識が通用しなくなるばかりでなく、変化に対応する上で足かせにもなります。植え付けられた古い固定観念に足を取られて身動きが取れなくなる前に、これまで当り前だと思い込んで疑いもなく受け入れてきた自らの価値観を今一度、省みる必要がある気がします。


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HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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