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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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昨今の経済情勢について、もう少し突っ込んで考えてみると、なぜそんな危険な状況に陥るようなコースをこれまで辿ってきたのかという疑問に行き着きます。


一言で言えば、世界中のお金持ち、一攫千金を夢見る山師、それらを巨大ビジネスに育て上げたい金融業界、お金の流通を通して世界中を牛耳りたいショッカーのような秘密結社などなど・・・、そういった一般庶民からかけ離れた、お金の魔力に魅了され尽くした方々の欲望が暴走してコントロールできなくなった、そう言い表せるかとも思います。


もう一つ見る角度を変えて、なぜ世界中のあらゆる経済を数珠つなぎにしてまとめる必要があったのか、その理由を考えてみます。世界中で交易が活発に行われることで経済発展が促されるという理由のほかに、歴史的な事情による理由があったように思います。それは、20世紀前半に立て続けに起きた二度の世界大戦のような大国間の戦争を二度と起こさせないようにするための予防線として、世界経済を一つにする必要があったことにあります。

戦後、西側の自由経済圏では横並びの同盟によって軍事、経済における利害を共有して相互に発展することで強大な勢力を築きあげました。そうした西側の強大な経済力の前に、東側社会が対抗しきれずに倒れたことは記憶に新しい歴史の一コマです。東側勢力が倒れた後、その域内の国々も取り込みながら経済的な利害と依存関係をより一層密にして、世界中の経済を運命共同体のごとく結びつけたのが現在のグローバル経済です。世界中の国々が、戦争をやって勝つことで得られる利益よりも経済的な損害の方がはるかに大きくなるという体制を目指したのです。


グローバル経済体制が確立されたことで、大国間による破滅的な戦争を回避するという目的は概ね成功したと言えます。しかし、その平和をもたらしてくれたはずのグローバル経済が、今になってまた別な形で世界を危機に追いやろうとしています。今から遡ること30年前、1980年代のアメリカでは製造業や軍需産業など、それまで超大国アメリカの経済を支えてきた産業から、新たな産業に転換する必要に迫られていました。90年代以降、製造、軍需に代わって主要産業に躍り出たのがウォール街を中心とする金融業界でした。彼らは金融工学と呼ばれる市場操作理論を立て続けに発明して、それによって世界の基軸通貨ドルを中心として、お金を右から左に取引するだけで莫大なマネーを創造することに成功しました。90年代以降、アメリカ経済がそうした実体の裏付けの無いマネーによって支えられただけでなく、そのアメリカの旺盛な消費に頼ることで日本を含む世界中の国々の経済が成り立ってきたわけです。


そうした錬金術による虚構の繁栄に副作用が無いはずがありません。虚構の富を手にした投資家たちは、やがてマネーを右から左に増やすことだけには飽き足らず、実体ある資産を買い占めること、資金の融通を通して国や企業の活動に関与することで現実社会に影響を行使するようになります。その結果として、石油や食料の高騰、各国政府の公共事業乱発による財政難、増税などのかたちで、ぼくたち一般庶民の生活にも多大な影響を及ぼしてきたわけです。無から有が生まれた試しはありません、実態を超えたマネーによって突き動かされた経済のツケはそっくりそのまま実体社会に返ってきます。


でも本当に恐ろしい問題は別にあります。1980年代以降、アメリカが金融産業を主要産業に位置づけて繁栄を維持してきたことはすでに述べましたが、それは、あの1929年の世界恐慌を引き起こした魔物を再び蘇らせた事を意味します。当時も実体経済の営みを超えた投機が起こり巨大なバブルが弾けて、世界中の実体経済に深刻な損害を与えました。その教訓から、金融は実体経済の補助であり、行き過ぎた投機が起こらないよう監視して規制するという体制が長らくとられてきました。80年代以降、その封印を解くことでリスクを犯してでも、多大な利益と発展を追求する方向に世界の経済はかじを切ってしまったのです。

それはしばらくの間は非常にうまく行っていました。1929年当時とは違い、最先端の金融工学、つまりリスク回避のための方法論を次から次へと発明して実践することでリスクを打ち消すことが出来たのです。その効果によって、90年代はかつてないほど世界の経済が発展しました。それと同時に見落としてはならないことは、市場の発展によって創造された潤沢な資金によって、経済的に貧しい第三世界の国々を、一握りの先進国や企業、投資家たちによって効率的に支配するシステムが完成したことです。それは軍事力を背景にした植民地支配よりも、巧妙かつ効率的に搾取することを可能にしました。いまだに第三世界の国々において、その大多数の住民が極度に貧しい生活を強いられ続けているのはそのためです。(ここで、ぼくたち先進国の住民は彼らの犠牲と引き替えに豊かさを享受しているという説に行き当たりますが、それは半分は本当ですが、もう半分は一握りの大金持たちが富を独り占めすることを正当化する方便です。なぜなら、ぼくたちはそれほどまでに多くの経済的な豊かさを享受したことは無いからです。そのことは、バブル崩壊後の日本の大多数の庶民の暮らしぶりが、好不況に関わらず一向に良くなった試しが無いことからも分かります。)


一見、完璧に推移してきたようにも見えたグローバル経済に綻びを生じさせたものは、皮肉にも、そのグローバル経済をより進展させて持続するために必要不可欠だった、IT革命によるネットワーク技術の発展でした。ネットワーク技術の急速な進展は、社会の構造から仕事のあり方、一人一人の生活から人生に到るまで一変させました。それは市場の取引、世界経済の性質そのものをも様変わりさせました。詳細については他に参照していただくとして、その変化の中でも要と言えるのが時間と効率化の際限ない加速です。証券取引所にIT技術が導入されて以来、世界中の市場がネットを通して即座に連携して、まるでコンビニのように24時間ほぼ365日、大量の取引を行うことを可能としました。さらに、コンピューター上のワンクリックで桁外れな金額の取引を瞬時に実行するようにまでなりました。そうして、これまでに考えられないような量の取引が、考えられないようなスピードで繰り返されるうちに、世界中のマネーが実体の100倍以上に膨れ上がるという、未だかつて経験したことの無い事態を招いたのです。


アメリカの中央銀行FRBの議長を長期に渡って務めたグリーンスパン氏が、リーマン・ショック後の検証番組のインタビューでその対応の可否を問われると、これまではほぼ完璧に市場をコントロールすることができたが、どこかで想定不可能な事態に陥いってしまったことを暗に認めるコメントをしました。グリーンスパン元議長といえば、90年代金融産業の大立役者、その道では神のごとく崇められていた人です。その人の口から一種の敗北宣言がなされたということは、これからの時代の流れを示唆する象徴として見なされることだと思います。


現在の市場原理主義経済が残したものは、世界中の貧富の拡大と雇用の喪失、もはや返す当ての無い天文学的な借金を後世の世代に背負わしたこと、そして地球規模の限度を超えた環境破壊です。現在の経済体制は、おそらくギリギリまで延命されるでしょう。しかし、それが永続させることが不可能なことは誰もが分かっていることです。願わくば、その延命期間中に世界全体が競争から協調へ向かい、世界経済の破綻や戦争という悲劇的な結末を避けて、次世代の経済体制へ緩やかに移行して欲しいものです。そして、新しい社会体制と経済体制が築き上げられていく中で、地球上の大多数の人たちが普通の幸せと人生を追い求められるような世の中に変わってくことを願わずにいられません。

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HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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