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北海道の鉄道とか写真の話題など、、、日々の徒然を独り言のように細々と発信してみるブログ。小説作品執筆中。
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映画「駅STATION」冒頭は雪の銭函駅ホームでの別れのシーンでした。

銭函駅は風情のある木造駅舎で当時と変わらない佇まいを今に残しています。

ホームを行き交う列車は銀色の電車に変わりましたが、かつては赤い電気機関車がけん引する重厚な昭和生まれの旧型客車列車でした。

その中でも一段と重厚なリベット打ちの茶色い車体と狭い窓が整然と並んだ戦前製スハ32型客車が冒頭のシーンにおける隠れた主役のように思えたのは鉄道好きな視点ゆえでしょうか。



そんな映画の名シーンを意識したわけではないのですが、昔日の夜行列車の面影を感じさせる夜の赤い電車の停車シーンをダイヤ改正直前に銭函駅でバルブ撮影していました。古いレンズのせいで光芒が際立ちすぎていますが今ではこれも思い出の1シーンです。今年限りの光景の中で無理をしても撮っておいて良かった一枚だと思います。





 
反対の上りホームへ渡ると小さな植木花壇の端に一群のアジサイの花々が咲いていました。

小樽→旭川乗り通しの旅の行きすがら朝の銭函駅に立ち寄り赤い電車とのコラボを撮影しました。そのまま乗車して小樽へ向かい折り返し旭川まで4時間半の旅を共にしました。





今日、その「駅STATION」がタイムリーにBSで放送されました。

もちろん視ましたが、やっぱりいい映画は何度視ても面白いですね。

銭函駅は今も基本的に変わっていませんが、駅前の広場は当時まだなくて木造の民家が密集した裏路地の先に駅があるような感じでした。

序盤の豊平川河川敷の検問のシーンでバックを通り過ぎる列車が上の赤い電車711系でした。

当時、出来立てホヤホヤの新車だった100番代がしっかり写っていました。

ちなみに6両編成の後ろ3両は試作車S-902編成であることが確認できました。

三十数年後の今、終焉期を迎えつつある赤い電車が一瞬だけでも”共演車”だったことは正直、嬉しかったです。

100番台のうち何番の編成かまでは判別できませんが、ひょっとすると上の写真に写っているS-110やS-113かもしれませんし、いずれにしても馴染みのある編成であることに違いはありません。

留萌本線の増毛駅では定番のキハ22をはじめ当時絶賛増備中だった新車のキハ40、10両しか製造されなかった少数車キハ24や2両だけの郵便荷物車キユニ21まで登場し、まるで非電化ローカル線オールスターズのようでした。

留萌駅や臨港線を行き交う大量の石炭車の群は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。

SLこそすでに引退して姿が見られなくなっていた時代ですが、人や物資の移動を一手に引き受けていた国鉄時代最後の情景は、いまかろうじて線路が通じていてもワンマン列車だけが走るローカル線になった姿とは別次元の活気に満ち溢れています。

炭鉱、漁業、林業が当時の北海道の重厚な産業を支えていたことを映画の中で端的に織り込まれています。

東西冷戦下の比較的に閉じられた経済の中で北海道は日本において重要な資源や製品を輸出入する、いわば仮想貿易国のような存在だったと思います。

ベルリンの壁とソ連が相次いで崩壊し国内のバブル景気が去って世界が開かれ多極化するにしたがい準貿易国としての北海道の地位も低下していきました。

石炭も材木も漁業資源も外国からの輸入に頼るようになった結果、北海道の産業は急速に衰退し拓銀の破綻へ繋がりました。

この映画はそういったかつて北海道に存在して今は失われた産業と社会の有り様を余さず記録した作品です。

観光と農業と残された僅かな漁業や林業を糧としてやっていくしかないこれからの北海道の未来を考えると複雑な心境になります。

何もかもが昔のほうが良かったわけではなく、過酷な労働と闇社会が幅を利かせた強面な当時よりも今のほうが見かけ上はずっと透明でクリーンな世の中になりました。

それでもやはり映画の中で描かれた人間模様は骨太で魅力的です。

当時すでに失われかけていた骨太な人間模様の情景を時代の変化の中で消え去ってしまう直前に映画というタイムカプセルに封じ込めたかのように感じます。

粗野で汚れた暴力が底辺で蠢いていた時代が長く続いた末に、その愛憎に満ちた層が徐々に必要とされなくなると共に、当時の人々は去りゆく者の世界に情緒を感じ始めたのかもしれません。

その時代ごとに人々が情感や愛着を感じ取れる対象は徐々に消え行く存在であるという見えない法則が働いているように思えます。

姿形ある存在、または目に見えない関係性から人間模様まで、全ての魅力を感じさせる存在はやがてその情緒とともに記憶の中へ昇華していく運命なのかもしれません。

無機質で味気ない存在や法則ばかりが生き残る不毛な競争社会の行き着いた先の末に一体どのような物事に向けて感情移入してよいものか悩まされる時があります。

映画の中で過ぎた時代の面影に浸っているだけでは見いだせない回答を求めて長い自問の日々が続きそうです。




 
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プロフィール
HN:
鈍行翼
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。

発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。

写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s

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