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これといった話題が思い浮かばない時の小ネタ記事として、今日もデジタル写真に関するうんちく記事を書いていこうと思います。これまでは主にデジカメ本体について触れてきましたが、今回からはいよいよデジタル・フィルム問わず写真撮影システムにおける核心中の核心であるレンズについて解き明かしていこうと思います。
ところがです。
なんといっても写真撮影用レンズの歴史は深くて長くてさらに奥深いことこの上ないものです。
それは一種の小宇宙を形成していると言っても決して言い過ぎではなく、その歴史を遡るとゆうに100年を超えてその間に数々のエポックメイキングな発明がなされて、同時にそれら写真機とレンズを手にした数々の有名無名の撮影者たちが歴史上の決定的な瞬間から何気ない日常の記憶までを切り取り多くの記録や作品として後世に残してきました。
写真の世界には伝説につぐ伝説が地層のように積み重なり一つの神話の体型をなすほど魅力的なエピソードが多く話題にことかくことがありませんが、そういった物語に彩られながらも一方では地道な技術開発の積み重ねによって今日まで進化し続けてきたものがカメラでありその眼となるレンズなのです。
そんな奥深い世界をたかだかにわか者の浅学な知識だけで語りつくせるはずもありませんが、その世界の基本中の基本におけるほんの触りの表面だけでも分かりやすく説明できたらいいなと思います。
何よりもこれから写真撮影を本格的に始めようとか、すでに写真にどっぷりハマっているけどもっとカメラやレンズ機材の仕組みを理解してみようという人にとって至極簡単な豆知識集のようになればいいなと思います。
まずはどこから手を付けてよいものか迷ってしまいますが、当たり前すぎて今さら言うに及ばずというところから触れていこうと思います。
そういう基本中の基本、イロハのイの部分をスルーしないほうが後々の込み入った部分を説明するときに分かりやすくまとめることが出来ると思います。
特別な図解はしませんが、写真撮影用レンズには大雑把に人の視野とほぼ同じ範囲が写る標準レンズと、実際にその場で見える視野以上にワイドに幅広く写る広角レンズ、普通の視野では小さく見える対象物を実際よりも大きく拡大したように写せる望遠レンズの三種類に分類されます。
さらに広角レンズには人間の視野を大きく越えた範囲を写せる魚眼レンズや背の高い建物を写す際に垂直と水平を揃えることが出来るシフトレンズ、主に標準から望遠レンズに属する虫や花などの細部を実物と同じ大きさ=等倍で緻密に撮影できるマクロレンズなど特殊な種類のレンズもありますが、まずは標準レンズ、広角レンズ、望遠レンズの三つがあることを念頭に話を進めていきます。
これら三種類のレンズをどこで判別するかといえば「焦点距離=レンズ中心点から撮像面までの距離(mm)」で表される数値の大小で区別されます。
焦点距離の値がより小さくなると広角、より大きくなると望遠よりということになります。
最も普及した135フィルムフォーマット=普通のフィルムのサイズにおいては標準レンズが50mm前後でそれより小さい35mmや28mmなどが広角レンズ、100mm、200mm、300mm、と大きいものが望遠レンズとなります。
(※フィルムが主流だった時代は使い捨てカメラから本格派の一眼レフカメラまでフォーマットのサイズが同じでしたが、現在のデジタル時代では前回のカメラネタ記事で少し触れましたが、デジタル一眼標準のAPS-Cサイズからコンデジ用の1/2.3インチサイズまで、さらに小さなスマホケータイカメラ用まで135フォーマットよりも小さなサイズが主流となっているので、それぞれに独自の焦点距離の基準があり一様ではありません。また135フォーマットよりも大きな中判カメラや大判カメラのフォーマットの場合も同じで、それぞれの比率の違いを掛けて135フォーマットの焦点距離に換算して表示されます。)
フォーマットの違いによるレンズ焦点距離の違いは後々の章の説明で必要になってくるのでここで触れておきました。
広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズそれぞれの場合において、一つの焦点距離で固定されたレンズを単焦点レンズ、広角~標準~望遠まで焦点距離が無断階に可変できるレンズをズームレンズといいます。
後半は単焦点レンズとズームレンズの性質の違いについて書いていこうと思います。
こちらは家にある標準50mmレンズと28-105mmズームレンズです。
50mmはペンタックスのマニュアルフォーカス時代の標準レンズでズームレンズの方はキャノンEFマウントのオートフォーカスレンズです。
メーカー、マウント、発売時期がそれぞれ異なりますが、これら2本を比較しながら単焦点レンズとズームレンズの性質の違いを出来るだけ簡潔に説明したいと思います。
撮影者の視点からすると一本のレンズで広角から標準さらに望遠域まで手元の操作一つで自在に可変出来るズームレンズの方が圧倒的に便利でシャッターチャンスの幅が拡がります。
一方で単焦点レンズはその焦点距離の画角以上も以下も写すことが出来ないので、異なる焦点距離のレンズを交換するか撮影者自身が被写体や対象に向かって近づいたり遠ざかったりしながら距離感を調節するしかありません。
使用感の上で大きなメリットがあるズームレンズと比較して色々な意味で制約の多い単焦点レンズにもズームレンズ以上のメリットがいくつか存在します。
それは上の比較用写真でも分かる通り筐体が小型なことと構造がシンプルなこと、そして同じ焦点距離ならズームレンズより単焦点レンズのほうがより多くの光を通すことができることです。
これは写真撮影用レンズにとってはとても重要な要素の一つでその差はF値という数値で表されます。
F値とはレンズを通過する光の量を表す値で小さいほど多くの光を通せることを示します。
レンズには絞りという機能が内蔵されていて、人間の目でいうところの瞳孔のように絞りを絞ったり開けたりすることでレンズを通る光の量を加減することができます。
この絞りの調節範囲は個々のレンズごとに決まっていて特にどこまで絞りを開放できるか=どれだけ多くの光を取り込んで明るく写せるかでそのレンズの性能の善し悪しが決まります。
上で紹介した2本のレンズは標準レンズが50mmF1.7、ズームレンズは28-105mmF3.5-4.5です。
ズームレンズはF3.5-4.5となっていますがこれは焦点距離によって最小開放F値が変化するということで、例えば広角28mmならF3.5、望遠端の105mmならF4.5と徐々に暗くなっていきます。
ちなみに28-105mmの50mmにおける開放F値は4.0です。
つまり単焦点標準レンズの50mmは絞りをF1.7まで開放できますがズームレンズの50mmはF4.0までしか開放できません。
このF値の違いがどれほどの差なのかというと、50mmのF1.7を四捨五入してF2.0とみなして次はF2.8、F4.0と続くのでおおよそ2段分以上の違いがあります。
(※F値を1段分小さくして絞りを開けると、その分レンズを通る光の量は二倍になることから、F2.0はF4.0の4倍光を多く通し明るいことになります。)
同じ光量の撮影状況において(カメラのISO値も同様の設定で)シャッター速度に置き換えると、F4.0で1/250が適正露出の組み合わせの時にF2.0(≒1.7)ならば1/1000のシャッター速度で撮影できます。
これは鉄道撮影など高速で移動する被写体をしっかりと静止させて写し止めたい場合では大きな差になります。
1/250ではギリギリで被写体ブレを起こしそうなところを1/500以上でシャッターを切れれば確実に列車は止まった状態で写ってくれます。
また、同じシャッタースピードで固定して適正露出を出したい場合、絞りを大きく開くことでカメラ側のISO値を低く設定しノイズによる画像の粗を抑えることができます。(※フィルムの場合は低感度のものを使用することで鮮明な画質を維持できます。)
ほとんど撮影できるかどうかギリギリの光量しか得られない場合や、手持ち撮影できる限界の1/30以下のシャッター速度で切る場合など、暗所で三脚およびストロボ不使用時の撮影における切り札にもなります。
このように、技術的に古く撮影面で不便にも関わらず単焦点レンズが各カメラ・レンズメーカーのカタログの中で最新のズームレンズと並んで生き残っているばかりか、毎年のように新たな技術を投入されたリニューアルモデルが登場する理由です。
他にも単焦点レンズ独自の利点として被写界深度の浅さを利用して大きなボケ味を演出できることや、解像度やコントラストの高さによる画質面での優位さなど、まだまだ多くのメリットが有りますが、それらの紹介とズームレンズどうしの性質の違いも含めて次回以降、順番に触れていきたいと思います。
(次回へつづく)
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発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。
写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s
「目指す場所があるからいつだって頑張れる!」