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本村へ到着すると、さっそくS-304号のSL列車がやってきました。短い区間を往復するだけですが、生きたSLのブラストを身近に聞けるのは良いものです。以前から旧三笠駅まで旧幌内線を走らせようという計画がありますが実現に至っていません、線路が残っているので全く無理な話ではないと思うのですが、もし実現したら非常に喜ばしいですね。
ひとつ変っていたことはS-304号用の車庫が新設されていたことです、開館から20年経ってようやく出来たといった感じです。ピットも付いた立派な車庫で、S-304号を今後も長期にわたって動態を維持していく体制が整ったことになります。S-304号は子供の頃から見たり乗ったりしてきたので、ぼくにとってはJRの動態保存機よりも愛着のある機関車だったりします。
S-304号はもともと室蘭のコークス工場の専用線で働いていた機関車で、保存機を除くと国内で最晩年まで現役だったSLです。1934(昭和9)年に室蘭の製鉄所向けに日本車両で製造されました。特にこれといった特徴のない産業用SLですが、それ故にそういった縁の下の力持ち的な決して世間から注目されなかった用途の機関車のかえって貴重な保存例だと思います。
夏休みとあって小さな子供連れの家族がけっこう多かったです。記念館本館に併設されたドーム型車庫にはC12 2、59609、ED76-505、DD13-353が格納されていますが、屋内のため保存状態は極めて良好でした。いつまでも良好な状態を保ってほしいものです。
道内では少数派だったDD16-15が牽引する救援列車です。DD16はDD51初期車の1000psエンジンを新型に載せ変えた際に、小型の車体を新製し旧エンジンを800psに落とした上で一台載せたものです。主に標津線や手宮線の入換えなどに使用され、写真の15号機は小樽築港区に所属し手宮線で使用されました。ボンネット上に増設された手すりが特徴的です。
DD51-610牽引の旧客編成です。何となく往年の客車鈍行「からまつ」を連想させます。この編成はどちらかというと旧三笠駅のキハ80系編成と並べた方が絵になるような気がします。このあたりの車両は2001年ころに一度大規模な補修を受けているため、思ったよりも痛んでいませんでした。
ところが、隣のキハ22、56の急行編成はご覧のような無残な姿を晒しています。ここに展示されて以来、下地処理無しのペンキ塗りが一度なされただけで、2001年の大補修時もなぜか漏れてそのまま放置され続けています。鉄道村の入口に位置する看板のような列車ですから、この状態がいつまでも続くことは好ましくありませんね。キハ22や56は、ぼくにとって最も馴染深い車両なだけに残念です。
急行型グリーン車のキロ26-104です。急行列車の衰退と共にいち早く現役を退いたので、その活躍の姿を見たことはありません。小型の二重窓が並ぶ姿が特徴的で、本州用は大型の2連下降窓でした。かつてはキハ22、56編成に組み込まれて展示されていましたが、休憩室として利用するため離されて展示されるようになりました。その時に補修されたため状態は比較的良好です。
これは先ほど紹介したDD16牽引の救援列車の後ろに連結されているスエ30-41です。一見、何の変哲もない旧型救援車に見えますが、もとは昭和3年製造の17m級三等・荷物合造車で、よく見るとリベット打ちの車体や二重屋根、連結器横のアンチクライマーなど古風な装いが際立っています。先ごろ津軽鉄道から買い戻されて復元の上、大宮の鉄道博物館に収載されたオハ31に匹敵するほど貴重な1両です。
屋外にはまだまだ紹介すべき車両がたくさんありますが、それらの紹介は次回以降に譲るとして記念館内の様子を簡単に紹介したいと思います。
入館料520円を支払って入場すると、まず最初に巨大な蒸気機関のオブジェが目に入ります。この吹き抜けの間にあるオブジェを中心に、旧幌内線関係の資料や国鉄蒸機や炭鉱鉄道の写真展示、国鉄型車両のHOゲージ模型が展示されていますが、正直あまりパッとしません。公共系の博物館によくある、マンネリ化して新鮮味を欠いた展示そのままの姿です(-_-;)
続いて奥に進むと蒸気機関車や明治の北海道の鉄道黎明期のジオラマなどのコーナーがありますが、見ていてあまり楽しいものではありません。
SLの部品やダルマストーブなどただ漠然と並べられているだけで、それらが実際にどう使われていたのか全く分かりませんし、SLナンバープレートがずらっと壁に飾られていてもそれら一両一両がどんな機関車なのか写真や図で紹介されないのはどうかと思います。全体的に見る人の満足度を全く考慮していない、”展示のための展示”と言わざるをえない内容です。特に小さな子供たちにとって楽しめる内容とは程遠いものです、今の子供たちが親しんでいるJRの特急に電車、新幹線や地下鉄などの展示がほとんど無く、100年以上前の開拓時代のジオラマや黒いSLの模型ばかり、キハ22やDD51が最新型であるような展示はさすがに無理があるというものですorz
少々急な階段を登って2Fへ登るとHOゲージ大レイアウトがお目見えします。これだけは見応えのある展示物ですが、走っている車両が300系新幹線と今となっては懐かしいキハ183系ダブルデッカーによるスーパーとかちです。たしか最初はキハ80系だったので、少しは時代のトレンドにあわせて進化したというところでしょうか(^^A)
立派なコントローラーにモニター画面がついて、模型の列車についたカメラで前面展望しながら運転できるのは良いのですが、一回300円でわずか2周は高すぎます。これでは子供が存分に遊ぶことができないでしょう、せめて一回100円が妥当な値段ではないかと思います。
そのほかの展示物を見回しても、恐ろしく旧式なファミコン並みの運転シュミレーターや、なぜかアメリカ型DLが走るだけの背景も何もないスィッチバックの模型など見ていて何ら想像力を掻き立てない展示が続きます。これでは来客数が伸び悩んでじり貧になるのも当然だと思います。
そんな中でも子供たちに好評だったのは、2Fのロビーの一角に設けられたプラレールのささやかな特設コーナーです。皮肉にも本館のどの展示コーナーよりも子供で賑わっていました。でもそれは畳み二畳ほどの小さな一角で、どうせならロビー半分くらい使うでっかいコーナーにして目玉企画にすればもっと子供たちにアピールできるのではと思います。あと、その横で女の子たちが退屈そうにしていたので、女の子が楽しめるような企画もやるべきでしょう。
現状では展示物が国鉄の遺産ばかりで、現在の子供たちの趣向にそぐわないことが一番の難点ですが、例えば模型の展示をJR後の車両を主体にして、その歴史が体系的に理解できる内容に改めるなど小さな予算でも可能な改善はいくらでもあると思います。模型についても、メーカー製完成品をそろえれば馬鹿にならない金がかかりますが、手作りでリアルな模型を安上がりに作ることも案外難しいことではありません。外に目を向けても、鉄道という観点だけでなく来る人たちを楽しませようと思えば自然散策路を整備してお花畑をつくるとか、レストランをリニューアルして食の充実をはかるとか色々やれることもあると思います。最近ではSLの体験運転などで話題になったり、近くの川で野外体験学習が行われているなど積極的な取り組みもすすんでいるようです。これまで行われてきた取り組みと合わせて、これからも新たに出来る取り組みを絶えることなく継続し続けることで来る人を飽きさせずにリピーターになってもらえるようになれば、将来的な展望は決して暗くないと思います。そのためには旭山動物園がそうしているようにリアルタイムで進化し続ける必要があると思います。
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発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。
写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s
「目指す場所があるからいつだって頑張れる!」