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以前、カメラのウンチクについて何かと書いていたのですが、だいぶしばらく間が空いてしまいました。
今日はその続きも兼ねてウンチク記事を書こうと思います。
参考までに以前の記事のリンクです。
画像のレンズはデジタル写真へ本格的に移行する前まで使っていたフィルム時代の”ごく標準的な標準ズームレンズ”です。
今のように画質が云々、解像度が、ピントが、被写界深度がどうのと全く考えることもなく、ただ無頓着に気の向くままにシャッターを切っていたカメラ小僧にとっては十分過ぎるスペックのレンズでした。
ピント面が際立つような解像度の高さや逆光フレア耐性を求めないならデジタル主流となった今でも使えるレンズだと思います。
記憶を思い返してみると、かれこれ小学校4年生頃から写ルンですでパチパチ撮り始めて、ついでバカチョンカメラ(※死語および差別的表現含む)MF一眼レフ+50mmレンズ、中学生になってから親父さんが飽きて使わなくなっていた当時それなりに立派だったオートフォーカス一眼レフカメラを使い始めました。
先程も触れたとおり、当時は写真の作品性などの上等な概念はハナタレの自分にとっては全く無縁なもので、それはレイルマガジンの中に掲載せれているようなハイレベルな作品の中でのみ見られるものとして当然に思っていました。
発病等、人生の諸事情によってしばらくのブランクの後に体力回復の一環としてケータイカメラでスナップを撮るようになり、続いてコンデジを導入してデジタル写真の画質の良さを気にい入り、より本格的な撮影に挑むために当時ディスコン寸前の型遅れ品だったデジタル一眼レフとオールドレンズの組み合わせによる低コストなシステムを導入して今にいたります。
デジタル一眼レフを本格的に導入した時に、あえてケチったのではなく、標準キットズーム付きを選ばずボディのみを買いました。
デジタル世代の標準ズームレンズを一本も持っていないということは明らかに不便になりますが、それには自分なりのこだわりと理由があって、買う前に色々と情報を集めて画質などを検討した結果、写真の画質の風合いはレンズの描写力でかなりの割合で決まるという事実に気付き、せっかくレンズの味わい深さに目覚めて味をしめ始めたのなら拘らないのは勿体ないということで、あえて不便さを覚悟の上でオールドレンズメインの撮影スタイルを選択したのでした。
当時のデジタル用キットレンズは最新の高画質なものとは異なり、より高価な上位ラインナップとの釣り合いを意識したのか、かなり控えめな言ってしまえば面白みの全くない平坦な画質のものばかりでした。
それがコンデジやケータイ・スマホのカメラが飛躍的に進化し出した頃から、これらと画質面で競合する必要性から標準キットレンズも出し惜しみしない高画質なものに変わりました。
もう一昔前の話になりますが、デジ一導入時に見送ったキットレンズの次のⅡ型モデルは外観もスペックも瓜二つながらレンズの描写性能は全く別物の高画質なもので、最近では当たり前となった上位レンズに迫るほどの下克上キットレンズとして話題になりました。
それでも標準キットレンズを導入することを踏みとどまり続けてきたのは、自らの頑固なこだわりを押し通したいというポリシーなどの主観的な問題ではなく、どんなに高画質化しても、より上位の高級品も含めて一定の妥協は免れないと考えているからです。
これは某所から失敬してきた、先に紹介した標準ズームレンズの構成図です。
広角28mmから標準50mmさらに中望遠105mmまで全く性質の異なる3種類のレンズを一本で済ますためにこれだけ複雑なレンズ構成となっています。
続いてこれも借りてきた、小学生の時分から使い続けているMF単焦点50mm標準レンズの構成図です。
ダブルガウスタイプと呼ばれる典型的な標準レンズの構成でドイツのカールツァイス製のプラナーと呼ばれるレンズ構成が始祖とされます。
縮尺は一致しませんが、ほぼ前後対象に配置されたシンプルな構成であることが一目で分かると思います。
50mm標準レンズの構成よりも焦点距離の移動に合わせてレンズ位置が可変する標準ズームレンズのほうが遥かに複雑で精密な構造であることがわかります。
構成図は載せませんんが、単焦点の広角レンズは上のズームレンズの構成を単純化したようなレトロフォーカスと呼ばれる構成が一般的で、反対の中望遠の105mmまでの領域は標準レンズの構成に近いものです。
広角レンズの特性と標準から中望遠までの特性は相反するもので、本来は別々な構成のレンズとして分けて設計した方がそれぞれより高画質なものが作れます。
広角から標準、中望遠までをレンズ交換の煩わしさを無くして一本で済ませられるズームレンズを積極的に開発しリードしてきたのが日本の有名カメラレンズ光学機器メーカーです。
ところが異なる特性の複数本分のレンズを一本でまとめるとなると、上で述べたように遥かに複雑で精密な機構が必要になりレンズ枚数が増えることでコストが増す反面、画質面では反射面が増えることなどから解像度、コントラスト、収差などどれをとっても画質を低下させる悪影響が出るばかりでメリットはありません。
かつては世界のカメラ業界をリードしてきたドイツの一流メーカーが本質的に不利な要素しか無いズームレンズを本気で開発しなかった理由です。
ドイツの一流光学機器メーカーの模倣から始まりやがては追い越すことを目指していた日本の光学機器メーカーは、画質よりも利便性を重視する戦略をとって不利なズームレンズの改良を積極的に推し進めて、そこに自動露出やオートフォーカスなどの電子技術を加味して写真撮影に特段の技術力を必要としない大衆向け全自動カメラを完成させました。
その蓄積された技術力が現在のデジカメ世界シェア八割強を維持する土台となっていますが、画質や機能性に対してより高度な次元が要求されるプロ用製品についても、決定的なシャッターチャンスに対してより機動的に対応できる超高性能、高画質なオートフォーカスカメラへと進化し続けていきました。
最初のしがない時代遅れの標準ズームに話を戻しますが、それでも超音波モーターによる静かで素早いオートフォーカスに対応しているなど当時としては先端を行く仕様でした。
今現在の最新仕様のズームレンズと決定的に異なる部分は非球面レンズや異常低分散レンズなどの高価で特殊なエレメントを一切使用していない、ごく普通のプレーンな球面レンズのみで構成されていることです。
最新のレンズでは、それらの特殊レンズの採用によってズームレンズの宿命であるより大きな収差の変動を効果的に補正したり、またごく最近ではナノレベルのコーティング技術を施すことでレンズ枚数の多さによる反射を抑えてコントラストの低下を大幅に減らすなど、まったく隙のない改良が続けられています。
超優等生的な高画質を誇る最新レンズが各社から相次いで登場するようになりましたが、それらのレンズは最近の超高画素化されたデジタルボディに対応するために画面の隅々まで高解像度が行き届きコントラストの高い鮮明な画質を描き出します。
でもどこか窮屈な印象を受けてしまうというか、最初に見た瞬間は画面の中に吸い込まれるようなインパクトを感じられますが、長い間繰り返し見ているとちょっと細かすぎるキメのせいで目がショボショボしてきそうな感じも受けます。
レンズ一本一本それぞれで異なる描写のクセや個性、味わいといった微妙で抽象的な違いについても乏しくなっているようで、その点では古いレンズのほうが欠点と裏表の関係でありながら豊富なニュアンスに満ちていると感じられます。
マルチコーティングが本格的に実用化される以前に設計された骨董品級の単焦点レンズの中には、反射面を減らすため必要最低限のレンズ構成で設計されたことで、コントラスト、解像度ともに良好に維持されていることから、半世紀に及ぶ技術的進歩の隔たりがあるにも関わらず、最新の高画素デジタルカメラと十分に組み合わせられる性能を有するものがあります。
いわば、古いカテゴリーの単焦点レンズは引き算の発想からより好ましい描写力を備えたレンズを目指し、一方で最新のスペックを追求する高性能ズームレンズは足し算の発想から日々進歩する新た技術を貪欲に吸収しながら、その時点で最高の画質と利便性の両立を目指しているといえます。
そのどちらを選択するのもカメラ機材を手にする撮影者の自由であり意図する目的次第と言えそうです。
最初の表題に掲げた標準ズームレンズを選択しない個人的な理由についてですが、上記までのウンチクの意味するところと合わせて、それぞれの製品の実際のサンプル画像などをざっと目を通しただけの感想ですが、標準キットレンズから1本10万円を超える高級レンズまで基本的に共通する性格として分かることは、広角から望遠まで全て平均的な高画質を狙うことによる画質に対する妥協線と没個性化は免れないと考えるからです。
同じズームレンズでも広角専用ズームや望遠ズームなど一つの焦点領域カテゴリーに属したレンズのほうが、より素直な印象で細やかなニュアンスまで描き切れるレンズが入門品から高級品にいたるまで多く見られます。
こういった視点からこだわってみると、個々のレンズ特有の描写力や味わいの深さを備えた標準ズームレンズが全く無いわけではないにしても、古いもの、新しいもの、高級品から安価な中古品まで含めても、その中から自分なりにこれはと思えるものはごく僅かしかお目にかかったことがありません。
その中から少しポイントとなる要点だけかいつまんでみると、一本数十万円以上するような全方向で最新最強のスペックを誇るプロクラスのレンズよりも、それより少し劣るハイアマクラスの製品か入門用よりは一つか二つ上の中級クラスのレンズで、あまりズーム倍率の高すぎないレンズの中に描写の個性とニュアンスが豊かな製品が比較的多く見られます。
広角28mm相当から望遠300mm相当以上を一本で済ませてしまう人気の高倍率ズームは利便性の高さとシャッターチャンスにはめっぽう強いですが、描写の味わいや個性などについては最も向いていないジャンルというのが一般的な定説です。
ただ最近のレンズメーカー製ミラーレス用高倍率ズームの中にはそうとは思えないほどリアリティのある描写をするものが登場し、それは一眼レフのミラーを省いたその分、長いバックフォーカス距離のしがらみから解放された結果としてより自由な設計ができるようになったためと考えられます。
純正ではないレンズメーカー製品の中で最近際立っているもう一つのジャンルは、高倍率とは対極のズーム倍率をわずか2倍に抑えた分、通しでF1.8やF2といったこれまでにない単焦点レンズに比類する超大口径化されたズームレンズ製品群です。
これらのシリーズは最初APS-C専用の製品が世界初の製品として驚きの反響とともに登場し、つい最近フルサイズ用にアップグレードした真打ちの製品が発売されたばかりです。
世界に唯二つのレンズ専業メーカー渾身の作品はその描写力もズームレンズの域を軽く飛び越えてしまった文字通り驚異的な異次元の超画質です。
次は最新のハイレベルな次元から一気にロートルな次元まで落として、お財布にとってもやさしい安価な中古品の中で以外に使えるジャンルのレンズの話をします。
超画質ズームレンズと同様にズーム倍率を低く抑えている製品という点がミソで、初期のズームレンズからオートフォーカス普及期の製品によく見られる35-70mm、70-150mmなど最も安価な製品群でありながら、同時代の単焦点レンズには及ばないものの、意外にストレートな画質で今でも十分実用的なものが多く隠れている分野です。
それよりも少し新しくAFフィルム時代のレンズで24-85mmなど24mmスタートのレンズは他の一般的なものに比べて画質重視のものが多く、中古市場に出回っている数が少ないことからけっこう割高ですが、フィルム仕様の余裕を持った設計とデジタルでも通用する高い解像度を兼ね備えたレンズとして隠れた人気のジャンルでもあります。
他にも60-120mmというポートレート専用レンズの名を冠された幻のズームレンズとして珍重されている一品もあります。
ここまでのウンチクの要点をまとめると、オートフォーカスの有無やズーム倍率の高さなどの利便性と画質の良さは反比例する交換条件であり、相反する両方の要素をより高いレベルで両立するためには最新の高価な製品が必要になるということです。
ここまでの長いウンチクが何かの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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性別:
男性
誕生日:
1982/05/07
職業:
エア作家/にわか写真家
趣味:
鉄道と写真ともろもろ・・・
自己紹介:
バセドウ病罹患者(勝手に寛解中)。
発病から10年以上経ちましたがようやく沈静化へ向かいつつある今日この頃。同時に人生の在り方を模索し続け小説という創作物に結晶化することを日々の生業とする。写真撮影は豊かな創造性とニュアンスの源泉です。
写真撮影の友:PENTAX K10Dと愉快なオールドレンズたち。
コンパクトはRICOH GX-8、R10、ケータイカメラCA006
フィルムカメラはPENTAX SPF、RICOH R1s、GR1s
「目指す場所があるからいつだって頑張れる!」
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